ただいまおかめ笹の休眠期を迎えており、自生の竹や木材を使った工作に適した時期となっています。

「おーい、今年も笹ザル作り講習会(研究会かな?)を開くけど、どうだい? 参加しないかい?」 地域ボランティアの先輩から、お誘いの声がかかりました。

一週間、間をおいての2回の開催だそうです。

メンバーは 去年の笹ザル作り で知り合いになり、その後も正月飾り製作でご一緒した先輩方で、気軽に教えを乞える気さくな方々の集まりです。

なお、今年は2年目になるのでVIP待遇はなし、材料を調達するところからの参加だぞ、自分で使う分の笹は自分で採れよ とのおおせです。

これって、おかめ笹の採れる場所を教えてあげるよ! ということですよね、ありがたいことです(山には持ち主がいます、勝手気ままに採れるということではありません)。

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1日目: 帯入り笹ザル作り

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帯入り笹ザル

二つ返事で参加した初日、さて、どのようなザルを作りましょうか?

もともと、こうでなければならないという形の講習会ではありませんので、昨シーズン覚えた手順・要領のおさらいをすることにしました。

おかめ笹採り

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笹採り

まずは、材料調達。 調達現場は、講習会会場から10~15分ぐらい車で県北の山間に入った場所でした。

遠目では特に特徴のある山ではなかったですが、一歩山の中に入ると笹が群生していました。取り放題の状態です。

笹は一年目の笹が柔らかく、しなるので曲げ細工に向いているとのことです。見分け方は、根元や笹の先を見て筍(笹の子)の皮が残っているような笹が、一年生間違いなしとのことでした。

道具は小刀でもいいよと言われていましたが、どうして、かがみずらいほど群生していますので、根元から刈るには長柄の鎌が適しています。

鎌を準備して行って正解でした。
刈り取る本数は、ザル一つあたり100本前後用意すると安心です。

刈り取った笹の葉っぱは、山に返してきた方がお互い幸せですね。所要時間は笹刈り30分、葉落とし30分ぐらいでしょうか。

ザル作りの手順書

昨年は、秩父の達人、吉田さんが公開した手順書を教科書に、ザル作りの勉強をさせていただきました。

何とか手順書記載の内容は理解できるようになったのですが、記載内容を実現するための手さばき、足さばきの具体的なやりかたが分かりませんし、分かったにしてもそのように自分の手足を動かせません。

この点、体験してみて分かったのが昨年の成果でした。
さて、今年はどうでしょう、少しは進歩できるでしょうか?

素人流帯の入れ方

それにしても、一年という時間は、人間をアホにするものですねえ。吉田さん流手順書の美味しいところをつまみ食いすれば、なんとかザルの格好にはなったはずですが、すっかりさばき方を忘れています。

特に笹カゴの終了段階、放射状のたてひごを花びらの形に丸めて納めるあたり、花びらを重ねていくほどに、すでに丸めた花びらが弾けて開いてしまいます。 泣きたくなりましたねえ。

そんな状態ですから、手順書「帯つけ」に記載の帯ひごなど入れられる状態ではありませんでした。とてもとても吉田さんのように、帯ひごの先を足で踏んで固定し、編み込んでいくなんて芸当は夢のまた夢です。

終了時間が近くなり、心配した先輩師匠が助っ人に入ってくれて、そうすれば手が4本になりますから、形にすることができましたけど、一人で仕上げられなかったのが悔しいですねえ!

でも、まだマスターできていないのですが、帯を入れる方法として次のようなことを考えていますよ。

●記載の帯ひごの代わりに針金で輪を作り、針金にはそれに沿うように帯ひごを軽く縛っておいて一緒に編み込んでいく。ザルの形ができたら、針金を切り除去する。去年はこの方法で帯入りザルを一つ作りました。

●帯ひごは端を縛ってあらかじめ輪状に作っておく。それを一緒に編み込んでいく。ザルの形が大雑把にできたら輪の端の固定を解き、ザルの整形に合わせながら輪を絞り込んでいく。今回作った写真のザルは、ほぼこの要領で仕上げました(本法、先輩のアイデア)。

2日目: 帯なし笹ザル作りに挑戦

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帯なし笹ザル

技量不足により、吉田さん風笹ザルには挫折感を感じていた折も折、先輩師匠がそれとはかなり印象の異なるザルを作っていました。

おばあさんが作ったという笹ザル(現役で使用中)を見つけ出し、努力の末に編み目をやっと解読したとか。

私が羨望の眼差しで作品を眺めていたら、気の好い先輩は快く編み方を教えてくれました。要所要所の編み方は吉田さんと同じなので、吉田さん風笹ザルが編めるなら悩むことなく作れると思います(美しさは編み手の技量ですので保証できませんけど・・・)。

では、吉田さん公開の手順書をベースに、手順の相違点を主に、備忘録を兼ねてまとめます。

たてひごの組み方

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畳編み

帯なし笹ザルの本質ではありませんが、仕上がりの美しさを追求する先輩は、花びら部分の太さをそろえるため、途中でたてひご(笹)を継ぎ足していました。

なお、この手法は大きなザルを作る場合には必須となる手法ですね。互い違いに並べた6本のたてひご根元の重なり寸法は、約25cmぐらいです(写真はあとで切りそろえようと思い、少し長め)。

たてひご継ぎ足しのタイミング

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縄編み

「2本縄編み」の段階でたてひご6本を3本づつに分けるので、この時期の前後でひごの根元を切り新しいひごの根元を差し込みます(今回は場当たり的に実施)。
その後、「3本縄編み」終了まで、手順書どおり。

帯つけの要領変更

「帯つけ」の編み方が肝心の部分ですので、よく読んで下さい。

手順書記載の帯ひごは、入れません!!

それから、吉田さんの手順書では、16か所から放射状にでている一つのたてひごについて、その横にあるたてひご間を、外・内と通してから下に抜いていますよね。

これを帯なしザルでは、外・外・内・内と通して下に抜きます。この花びらの形を崩さないように注意しながら、隣の放射状たてひごも同じように、外・外・内・内と通して下に抜きます。

このパターンの作業を、放射状たてひご16か所について順繰りに行います。

腰たての作業要領

「腰たて」の作業要領は、花びらの形がつぶれるまでたてひごを引いて締める点が相違点です。

この時、単にたてひごを力を入れて引くのではなく、花びら全体を柔らかくつぶすように押さえながらたてひごを引きますよ。

すると完成写真のように花びらの形が消滅し、流れる曲線のザルになるはずです。

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ザルの底

以降の「底編み」や「底を作る」作業は、要領書のとおりです。

笹ザル作りの留意点

●ひご細工のコツは、材料をだますことだ と言われますが、笹ザル作りも全く同じです。作り始める前に笹に十分曲げ癖をつけて、柔らかくしておくといいです。

あらかじめクセをつけ、だましておかないと、思うように曲がらないし、最悪折れてしまいます。

●最初の円周状に編んでいる時など、手を離すとせっかく編んだ部分の笹が、弾けて緩んでしまいます。

面倒でも手を放したい時は、そこまでに編んだ部分をヒモ等で縛っておくといいです。

●笹ひごの密集した編み部分に、さらに笹ひごを差し込みたい場面があります。差し込み口をこじって広げるため、先の細いプラスドライバーを用意しておくといいです。

●円周状の編みが終わり花びらを編む段階になったら、円周状の編み部分がお椀の底になるように、放射状に出ている全周のたてひごに曲げ癖をつけ、お椀を横にして花びらを編んでいく恰好が作業しやすいですね。

(分かるでしょうか? みそ汁のお椀を横に置いた姿で、縁になる花びらを編む格好なのですが・・・)

備忘録として残したい情報は、以上です。 同好の御訪問者様の参考になれば幸いです。

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たてひごの端

へへへっ、実は白状すると「底編み」における3本縄編みができないんですよ。

底にあるたてひごの端の部分は、寝た角度で円周上に密集しており、編み用のひごが3本も混ざるとどれが今編まなければならないひごか見分けがつかなくなって、頭の中が混乱してしまいます。

そんなわけですから、ここでは2本縄編みを土台として、たてひごの端を留めました。

まあ、底の部分をシゲシゲと眺めるいじわるな人もいないでしょうから、ごまかされてやって下さいな。

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