親戚の叔母さんと話をしていたカミさんが、電話を切るやいなや「薄い乾燥芋を作れるようにして頂戴!」

突然の御下命であります。

そろそろ乾燥芋を作る時期なのだが、美味しく作るには芋を掘りあげてから一定の期間寝かせておく必要があり、もう作っても良いかなと思い始めたところに、叔母さんはもう作って今年の芋の味見をしたという。

遅れをとったカミさんは、早速実家に芋”紅はるか”を貰いに行くが、少しでも早く干し上げて食べるために薄切りのスライサーを作れという魂胆のようです。

よござんす。しめ縄綯いも終わったことだし仰せに従いましょう。干しあがったら御相伴にあずかろうという下心もあることだしね。

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干し芋スライサー2号器


数年前に作った干し芋スライサーを改造することも考えたりしましたが、スライス厚みを薄くという注文なので、現有のスライサー(厚み9mm用)はそのまま残し、新たに7mm用を作った方が得策だろうと考えました。

<ご参考(現有品)> ”干し芋スライサーを自作したぞ

数年間現有品を使用した経験から改良すべき所も見つかっているので、2号器スライサーはその対策も考えて作ることにしました。

1号器で気になっている点は、ワイヤーが緩みやすいという点と全体が大きいという点です。

上の写真が2号器スライサーの外観です。ワイヤーの張り方は1号器と同様ですが、カッター部の面積を小さくして緩みずらくしました。それによって全体寸法が随分小さくなりました。

また、ワイヤーの線径を0.3から0.45mmのステンレス線に変更して、より丈夫にしました。

ワイヤーの弛み吸収対策としては、コーススレッドネジ(木ネジ)を使うことにしました。

1号器は和楽器の琴の弦を張るのに琴柱(ことじ)を使うのと同じ理屈で弛みを吸収しましたが、2号器ではネジ軸を回すとナットが軸方向で移動するのと同じ理屈で吸収するようにしました。

写真を簡単に説明すると、コの字形箱の上の面にワイヤーが張ってあり、片方は向こう側の側板の見えない側に打ち込んであるタップネジに掛かっています。

もう片方はコの字側板の上方を固定している角材に乗っている定規部材(角材)タップネジに掛かっています。

定規部材は角材に固定してないので、角材の上を滑って動くことができます。

定規部材には、手前の側板を貫通して打ち込まれた100mm長の木ネジがねじこまれています。

木ネジ部製作上の注意点は、手前側板に開けたネジ穴はバカ穴(ネジが利かないように)にしておくことと、ケガをしないように木ネジの先端を丸めておくことでしょうか。

このような構成ですから、2本の木ネジをバランスよく回すことにより、定規部材を動かすことができ、ワイヤーを張ったり緩めたりできます。

汎用のボルト・ナットを使うのがオーソドックスな手法だと思いますが、材料費を下げるためにせめてもの悪あがきです。

写真向こう側の側板のワイヤーガイド溝(7mmのワイヤー幅を規定する溝)の掘り方を忘れてしまい、金切りノコ刃を使ったため横滑りしてうまく掘れませんでした。

写真写り上、ピッチがかなり乱れていますが、このあときちんと直していますのでご安心ください。

*物忘れの激しい自分への備忘録:糸ノコの刃を使うこと。部材角のガイド溝端には、カッターもしくは鋸目立てヤスリの鋭角部で少し削り込みを入れておくと、糸ノコの横滑りを防げる。

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干し芋スライサー3号器


やれやれ、2号器の7mmピッチ直しも完了し、一仕事終えた満足感に浸りながらスライサーを眺めていたら、とんでもねえことに気が付いてしまいました。

1号機器も2号器もワイヤーが弛むのは、ワイヤーが定規部材の角に食い込むということが真の原因ですよね。

抜本的対策としては、ワイヤーをネジとネジの間にピンと張らなければだめなんですね。

さて、どうすっぺ? 面倒くさいしなあ! 横着な自分の心としばし葛藤・・・

結局、今、中途半端な性能となっている9mm用の1号器を、その材料を流用して香風流芋スライサーとして理想的な道具に再生すると決断しました。

それが、上に示した3号器芋スライサーです。見てくれが特別良いわけではありませんが、性能は最高水準ですぞ!

ポイントは、いかにワイヤーの9mmピッチを実現させ得るように正確にタップネジを打つか、その点にあります。

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ワイヤー線図9mm


今回は、PCを使いグラフィックソフト花子でワイヤー線図を描き、タップネジの実測軸径3.5mmをもとにどこにネジの中心を置けばよいかを決めて、印刷しました。

印刷シートを定規部材(角材)に張って、画のネジ中心に千枚通しの針を刺し、木材に印をつけ、そこにネジを打つという方法をとりました。

ちょっと面倒な方法ですが、このアイデアはグッドでした。自分としては十分許容できる精度でワイヤーを張ることができましたよ。

それにしてもビックリしたのは、ホームセンターで販売している、数年前に1号器の手本とさせていただいた実物商品の価格。当時4000円ぐらいだったのが、今は8000円近くしていました。

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使用風景


最後に、2号器スライサーの稼働風景。

カミさんが鍋で煮た(必ずしも蒸さなくてもいいんだそうです)サツマイモの皮を剥き、芋を垂直に立ててスライサーを通しています。

スーっと切れるので、1本の芋切りにかかる時間はものの数秒! もちろん同じ厚みに切れています。

今日もまだ芋干し中なので、7mm厚みと9mm厚みの食感の違いや乾燥の違いは分かりませんが、興味のあるところとなっております。

よし、我が家でも自作しようとお思いの閲覧者様がいらっしゃいましたら、3号器方式のスライサーをお勧めします!

* ワイヤー線図の作図が大変な方へ  <ダウンロード(PDF:120kB)は、こちらから>

 

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テーマがなく節操のない写真集ですが、お時間がありましたら覗いていただけるとうれしいです。

 

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