<3・2・1、ファイヤー!>
<建物屋根を背景に帰還中のKH-5>
水ロケット(ペットボトルロケット)遊びは自分もいっしょになって大空を飛んでいるような気分になり、とても楽しいですよね。水ロケットが空高くあがり、落ちてくる時にパッと落下傘が開いてフワフワとロケットが戻ってきたら、もっともっと楽しいでしょうね。
さっそく、香風流の落下傘付き水ロケットを考えてみました。ロケットの愛称はKH-5(ケッチ・ファイブ)と言います。落下傘を開かせるアイデアは、単に上部ボトルを下部ボトルの上に載せるだけの構造として、間に落下傘を収納し、かつ上部ボトル内におもりを糸で吊るして重心が移動するようにしたことです。このことによって、
- 水噴射の勢いがなくなってロケットが傾くと、吊り下げたおもりが動いて重心位置が変わり、また時にはおもりが上部ボトルの壁に当たって、わずかな傾きでも上部ボトルが下部ボトルから外れて落下傘が放出される
- 水噴射中はおもりに加速度が加わり、その反力で上部ボトルが下部ボトルに押し付けられるから落下傘の誤放出が起きにくい
- 同じ理由で、ロケットを真上だけでなく仰角60度ぐらいの斜めに傾けても打ち上げることができる
などの優れた性能が得られます。
<落下傘付き水ロケット(KH-5)>
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基本形の水ロケットを改良
ここで作る水ロケットは、下の写真および図のような水ロケットです。1.5リットルのペットボトル3本を使い、太さ約9cm、高さ約60cmあります。スカートに付けた羽根4枚は牛乳パックで作り、ロケットの先には安全のためヘッド(ウレタン製)を取り付けてあります。
下部ボトルへの空気入れと噴射口の栓のためには空気注入針を刺したゴム栓を使い、これを自転車の空気入れに接続してロケット発射します。
このページでは、落下傘付き水ロケットに改造するために必要な部分だけをまとめましたので、基本形の水ロケットの作り方や落下傘の作り方については、ペットボトルの選び方、工作するための線の引き方、ペットボトルの切り方など、ていねいにまとめてあるホームページがたくさんありますから、「水ロケット」や「ペットボトルロケット」などをキーワードにして検索して勉強してください。
また、本文中に記載している数値は、工作する人が入手した実際の材料によって少し変わりますので参考にとどめて下さい。
落下傘付き水ロケットに改造するには、基本形の水ロケットのビニールテープをはがして、ヘッド、上部ボトル、下部ボトルの3つの部分に分解してください。
<基本形の水ロケットの外観>
<基本形の水ロケットの断面>
<新たに準備する材料>
- 基本形水ロケットと同じ大きさのペットボトル ・・・・1本
- おもり(約45グラム) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
- たこ糸 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(太、細)各1巻
- ビニールテープ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1巻
- 輪ゴム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3本
(落下傘はこれとは別に作ってください)
おもりの取付け
落下傘付き水ロケットでは、上部ボトルと下部ボトルをビニールテープで巻いて固定することはしません。上部ボトルは下部ボトルの上にちょうど帽子をかぶるようにチョコンと載せているだけです。
おもりは太さ12mm用のネジの長ナット(重さ45グラム)を使いました。これを上部ボトルのキャップの真ん中に穴をあけて上部ボトルの中にたこ糸で吊り下げます。おもりの位置は上部ボトルのなるべく上の方で、大きく揺れることができる位置とします。
写真の場合、上部ボトルのキャップの上からおもりの上まで約6.5cmです。
<おもり>
<おもりの取付け>
仕切りボトルの切断と取付け
落下傘を収納する荷室を作るため、準備したペットボトルをペットボトルのキャップの上から9.5cmぐらいの位置で輪切りに切ります(ペットボトルの首から徐々に太くなっていき、太くなり終わったぐらいの位置)。この時、切った部分がまっすぐになるように特に注意しながら切ります。
次に、この切り取った仕切りボトルを上部ボトルの中に5mmぐらい深くなるように差込みます。そして、仕切りボトルと上部ボトルがずれないように、円周上に3,4箇所、針が外に出る向きにホッチキスで止めます。外に出たホッチキスの針の部分は、そこにビニールテープを巻いて化粧します。
<仕切りボトルの切り出し>
<仕切りボトルの取付け>
上部ボトル支持ベルトの取付け
改造した上部ボトルを下部ボトルの上にそっと載せます。ロケットがくの字に曲がっていたら、まっすぐになるように直してそっと載せます。上部ボトルの下端がどこになるか下部ボトル側に1箇所印を付けます。そして、上部ボトルを外し印を付けた高さで下部タンクに一周マークします。
続いてそのマークがビニールテープの上の端になるようにビニールテープを4,5回巻きます。つまり、そこ以上に上部ボトルが差し込まれないように上部ボトルが載るためのベルトを作ったわけです(写真は後出を参照)。
落下傘取付け部の作成
落下傘からのつなぎ糸を止めるための取り付け部を、上部ボトルと下部ボトルに作ります。
上部ボトルには、ホッチキス止めしたあたりに穴をあけ、片側に輪を作ったたこ糸を通し、端を玉止めに結んで止めます。この取り付け部の糸の長さは4,5cmもあれば十分で、落下傘からのつなぎ糸は輪に止めます。
下部ボトルへの取り付け部はホットボンドで止めました。真ん中に輪を作った5,6cmぐらいの長さのたこ糸を下部ボトル上面の端の方に置き、糸の部分をホットボンドで固めてボトルに固定します。
あとは落下傘を取り付けるだけです。忘れないうちにヘッドを上部ボトルにビニールテープで固定します。
<上部ボトルの取付け部>
<下部ボトルの取付け部>
落下傘の取付け
落下傘は辺の長さ95cmの正方形の薄手のビニールシートを八角形に切り、吊り糸の長さ約55cmで作りました。
これを落下傘が開いた時のショックを吸収するために3本束ねた輪ゴムにつなぎ、輪ゴムの一方はつなぎ糸の中央部に結んで、つなぎ糸の端はそれぞれ、上部ボトル・下部ボトルの落下傘取り付け部につなぎます。
<落下傘の取付け>
落下傘のたたみ方
落下傘をなるべく早く開かせるためには、たたみ方と収め方に多少のコツがあります。
落下傘は輪ゴムと落下傘頂部を持って、ちょうど雨傘をたたんだ時のようにまっすぐに伸ばします。落下傘の頂部からつづら折りでジグザグにたたんでいって、もう1回の折りで傘部がたたみ終わるという時に、折りの内側になる面に今度は吊り糸をつづら折りでたたみます。
上手にたたむとつづら折りの落下傘から輪ゴムがのぞいているような格好になります。これを下部ボトルに結んだつなぎ糸の上に(つなぎ糸は端の取り付け部から反対方向にピンと張ること)落下傘頂部が下になるような姿勢で載せます。
その上に余ったつなぎ糸をまとめて載せ、さらに上部ボトルを載せて(かぶせて)落下傘を仕切りボトル内に収めます。
支持ベルト部から糸や落下傘がはみだしていないこと、上部ボトルが軽く外れることをチェックして、ロケット打ち上げまで上部ボトルが外れないように周方向2箇所ぐらい安全テープで止めておきます(打ち上げ時に外すことを忘れないように!)
注:仕切りボトル内の体積が大きすぎる(ボトルの高さが高い)と落下傘が放出されにくくなります。
<落下傘のたたみ方>
<落下傘の収め方>
<安全テープで固定>
完成前点検と落下傘のセット
本文中と重複する記載もありますが、大事なことですのでまとめました。
- 繰り返しの打ち上げに耐え、開傘失敗での着地に耐えるため、おもりはしっかり糸に固定します。
- 下部ボトルの上にかぶせた上部ボトルを横に押すと、下部ボトルから軽く外れることを確かめます。このためには、
- 上部ボトルの下端は、水平に、まっすぐ滑らかに切断します。また、
- 支持ベルトのビニールテープは、まっすぐ水平に、先に巻いたビニールテープの上に正確に重なるように巻きます。このように巻いて上部ボトルを載せるための段差を作ります。また、
- 上部ボトル落下傘取り付け部糸やホッチキスの針が、上部ボトルを下部ボトルの上にかぶせた時にその間に挟み込まれない位置にそれらを取り付けます。
- 上部ボトルおよび下部ボトルの落下傘取り付け部は端の方に作ります。中心部に作った方が見た目は美しいのですが、上部ボトルについては取り付け部糸と仕切りボトル壁の間で折りたたんだ落下傘を挟み込みやすくなること、下部ボトルについてはつなぎ糸による落下傘放出の効果が弱くなること、などの性能低下が心配されます。
- 上部ボトルおよび下部ボトルの落下傘取り付け部糸が外れないように、しっかり固定します。
- 落下傘の吊り糸は、つづら折りの最後の折りの時に折り込んでしまいます。このことにより約30cmぐらいのつなぎ糸が伸びる時にビニールシート部を引き出します(このようにしないと吊り糸の長さは55cmぐらいあるので、落下傘が仕切りボトル内に収まっていたらビニールシート部が引き出されない可能性があります)。
- 折りたたんだ落下傘は、下部ボトルに取り付けたつなぎ糸の上に載せます。これによりつなぎ糸が張る時に落下傘のかたまりを外側に放り投げる効果を期待します。
- 落下傘のかたまりをつなぎ糸の上に載せる時、落下傘の頂部側を下に、吊り糸取り付け側を上にします。これにより落下傘が放出された時に開き口が風をはらみやすくなります。
- 落下傘のかたまりは下部ボトルの上に載せてから上部ボトルをかぶせるようにしてセットします。落下傘のかたまりを仕切りボトルの中に収めてセットすると、また、仕切りボトルを深い寸法に工作してしまうと、上部ボトルと下部ボトルが分離した時に気流の影響で落下傘が引き出されない場合があります。
ロケット打ち上げ
落下傘付き水ロケットは、真上から仰角60度ぐらいの傾きまで広い角度で打ち上げることができます。ただし、ロケットを傾けていくと上部ボトルが下部ボトルから外れてしまうため、上部ボトルが倒れないようにこれを支える発射台が必要になります。
発射台は工夫をしながら作ってください。
<KH-5用発射台>
<斜め打ち上げでも開傘したKH-5>
<まめ知識>
おもりのはたらきの説明(PDFファイル:300KB)は、こちらへ
<御参考:強力発射台>
公開されているホームページを参考にし、水道ホースのワンタッチカプラを使った「蓄圧リモート式発射台」を作ってみました。強力に加圧でき、また自分の思うタイミングで発射できるので、ロケット打ち上げがさらに楽しくなりました。
「ぼくも作ってみようかな?」と思った君のために、構造図(PDFファイル:890KB)を、御紹介(ここをクリック)します。
ペンチ、ドリル、金ノコ、リーマなど、工作好きなおじさんやお兄さんが持っているような道具が借りられれば楽に作ることができます。
** ペットボトルロケット楽しいですね。これとは別に、落下傘付きボール紙ロケット「打ち上げ落下傘」も考えましたよ。ぜひご覧ください **
<注意>
●落下傘付き水ロケットは普通の水ロケットよりもおもりを付けた分だけ重くなっています。落下傘が開かなかった場合に備え、衝突事故には十分注意して遊んでください。
* 本記事につき、お世話になったサイトにて公開してきましたが、その公開が止まったため、著者が運営する本サイトにおいて引き続き公開致します。 *
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