持ち運び・分割可能な木製滑り台の自作記事です。

何を隠そう、先日の義父の法事で久しぶりに、よちよち歩きできるようになっていたWKNちゃんに会ったのです。

「WKNちゃん、ジージだよ、おいで」 って呼んだら、こちらへ歩いてきたので、抱こうと思って手を出すと、「じゃまだ、どけ」と言わんばかりに、いたいけなジージをモミジみたいな小さなお手てで振り払うのでございます。

「あああ、うう、う・・・」(ジージ涙するの図)

もう、こうなったら貢物をして気を引くしかないでしょう。腰がイテーくなるから頑張りたくはないのですが、孫のためならやりましょう、ええ、やりますとも!

では、孫と遊ぶための滑り台、設計方針を検討し次のように設定します。

滑り台

<設計方針>

  • 手持ちの工具を使って自作できるように、木工、木ねじ接合法とする。
  • 孫からジージまで遊べるように、耐荷重を考慮して製作する。
  • 転倒防止に強いL型形状とする(登って行った方向から横に滑るタイプ)。
  • 自立型とする(基礎、支柱不要)。
  • 可搬型とする(容易に2分割でき、各々大人1人で持てる重量、運べる形状)。
  • きちんと設計図を描くとくたびれるから、現物合わせで製作する(できなりで、次の手順の寸法を決める)。

と、まあこのぐらい決めておけば、設計図はいらないでしょう。

大ざっぱなにらみとして、実際にお尻をつけて滑る”滑り板ブロック”、滑り板に傾斜を付けるための”やぐらブロック”、やぐらに上がるための”階段ブロック”とに分けて組み立てて行くこととします。

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滑り板ブロック

では、初日は肝心の滑り板ブロックから。

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<滑り板おもて>

滑り板は、約180×90×1.2cmの化粧コンパネ(ベニヤ板の片面が樹脂?加工)を選びました。縦に半分(45cm幅)に切ってもらって50円の追加料金。

樹脂面がよく滑ります。選択肢としてフローリング材も使えますが、幅が30cmだったと思います。また、滑らない板で作った場合は、シリコン剤を塗ると滑るようになると書いてあるネット記事もありました。

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<滑り板うら>

側板および補強板ともに1×4(ワンバイフォー)材を使用。こういう呼び方は、外材でインチが単位と思っていました。それはその通りなのですが、例えば2×4は断面を示し、1.5インチ×4インチ、繰り上げてツーバイフォーと呼んでいるんだそうです。

なーんだ、結局素人にはメジャーを持っていって計ってみなけりゃ分からないということか。1×4材は、約2×9cmでした。

コンパネ材と側板の接合を写真のようにすると、お尻の入る幅が41cmになりますが、41cmでもジージのお尻が入ります。

また、強度的にもこちらの方が強いですね(木ねじをコンパネの厚みの部分に打つような組み方よりも、写真のように側板に打つ組み方の方が強い)。

初日は、久々の木工工作なので、工具の準備と肩慣らしで終了。

やぐらブロック

では、一番面倒なやぐらブロックの製作に取り組みます。

何が面倒かって? 今回作るやぐらは、四角形形状をしています。横から見ても四角形、上から見ても四角形です。4辺を形成する部材の寸法を正確に揃えて切り出さなければなりません。

また、それを組む時には、部材が縦、横、高さ方向ともに直角になるように組まなければなりません。ちょっと気を抜くと長方形や正方形ではなく、ひし形になってしまうのです。

極端な話、木ねじを1本留めるごとに差し金で直角をチェックしながら作業を進めるわけです。さらには、現物合わせで作りますから、部材を切るたびに紙やすりで滑らかに削って、四つ角の面取りを行います。

材料を書いておきますね。ベニヤ板と1×4材は、昨日書きました。その他には、いずれも杉材で、
・垂木1・・・ 約35×45mm・・・柱
・垂木2・・・ 約25×30mm・・・柱の鉢巻補強や手すりなど
・ヌキ材・・・ 約14×50mm・・・補強用の筋交い

以上が、滑り台を作った木材の全てです。
やぐらを作る上での寸法的な制約は、次の3点のみ。

・柱間の寸法は、滑り板ブロックの幅約45cmを内側に収める寸法とする。
・滑り板の傾斜を決める高さ、つまりやぐら踊場の高さは635mmとし、柱端の高さ約920mmを手すりの高さとする。(滑り板ブロックが出来上がり、縁台2台重ね(高さ60cm)にして傾斜をつけ、滑ってみたら、ちょうどよい具合であった)
・踊場の幅は、床材である1×4材を中途半端な寸法で縦に割くのが面倒なので、切りよく5枚分幅、約450mmとする。

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<やぐら仕上がり>

後は単純作業、ただシコシコと部材を切っては削って、木ねじで留めていきます。手前側、接地補強部材2本が飛び出ていますが、この部材の上に階段の側板を取り付けます。

階段が、ひし形に見えている踊場の左下の辺に付くとすれば、滑り板ブロックは右下の辺に取り付きます。

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<やぐら反対側から>

やぐらを反対側から見ると、このように見えます。接地補強部材、向こう側の左端が15cmばかりやぐらから出張っています。

これは、WKNちゃんがやぐらの上で踊ったりした時の転倒モーメントに耐えるための予防策です(L型形状ゆえ転倒に弱いのは、こちらの方向のみ)。

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<やぐら下から>

木組みが分かりやすいように、地面側から見るとこうなっているという写真も貼っておきます。

さあ、明日は階段と手すりをつけますよ。

階段ブロック

努力の甲斐あって、やぐらの部分がしっかりできたので、後の作業がずいぶん楽になりました。木組みがしっかりせずフニャフニャしていると、おっかなびっくり作業することになって疲れてしまいます。そういう意味では楽になったのですが、今日の作業は、階段と手摺り作り。

斜めの部材を切ったり、組んだりすることになりますので、直角物を扱う感覚とはまた異なり、ノーミソが汗をかきます(そこがボケ防止になって、おもしろいんですけどね)。

やぐら現物を前にして、今日の作業のポイントとなるイメージ設計を固めます。手摺りは、柱のてっぺんにL字形状に2箇所付けると決まっているので、これはよし。 問題は、1×4材を使うことを前提にして、階段の角度と踏み板間の高さですね。

一般建築物での踏み板間の高さは、略16cm~25cmぐらいの間の寸法になっています。やぐら踊り場までの高さは63.5cmですから、4段階段とすれば16cm、5段とすれば12.5cmとなります。

ところで、ここで作る滑り台は、気に入ってくれれば3,4歳まで遊べる滑り台ですから、(今日現在のWKNちゃんには、ちょっと高いかもしれないが)16cmを採用し、世間によくある階段高さに、早い時期から馴染んでもらうことにしましょう。

階段の角度について、緩やかなスロープの方が良いと思い、45度ぐらいの勾配を想像してみたのですが、現物を前にしてみると45度は却下。

人間の本能として、進行方向の高い所につかまりながら、梯子を登るような格好をして上がるんじゃなかろうか?よって、階段の側板底面はやぐらの柱から35cm離れた位置に置くこととしました。つまり、接地補強部材2本の柱からの出っ張りは35cmということになります。

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<階段・手摺り>

では今日も、ただシコシコと部材を測っては切って、削っては木ねじで留めてを繰り返します。そうそう、書き忘れましたが、部材1本、1本毎に寸法を測っていませんよ。

斜め切断の部材などもそうですが、それが収まる場所に(現物に)材料を押しあてて、現物側の部材の縁どおりに鉛筆でなぞり、切断線を写し取っています。

また、階段の踏み板は、側板側から木ネジを打って留めました。でもこの留め方だと長い間には、踏み板厚みへのネジの食いこみが緩み、踏み板が下がってきます。面倒なのですが、踏み板の下には、荷重分散のための受け材も取付けておきました。

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<階段・手摺り 反対側から>

反対側は、こんな仕上がりです。

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<階段正面>

階段を正面から見るとこんな具合。

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<下から見ると>

地面側からも見ると、こういう風になっています。

以上、やぐら、階段ブロックが合体した形で、2分割滑り台の片方も製作完了です。さあ、いよいよ明日は滑り板ブロックとの組み合わせ法を紹介して、完成滑り台のお披露目です。

乞う、ご期待!!

合体・最終組立て

ジャーン! 大変長らくお待たせしました。 いよいよ完成お披露目です(塗装未了)!
さあ、どうぞ! これが、香風流 L字型 WKNちゃん専用滑り台ですぞ。

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<組み上がり滑り台>

できはいかがでしょうか? けなさないで下さい。オヂサンは、褒められて伸びるタイプですから(笑)

さて、製作まとめを書く前に、可搬型を売りにした”滑り板ブロック(以下、滑り板)”と”階段・手摺り付きやぐらブロック(以下、やぐら)”の簡便着脱法(構造)を説明しなければなりません。

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<着脱部構造>

やぐらに滑り板を取り付ける時、お互いを木ねじで締め付けるわけではありません。滑り板の端を、上からスーッとやぐらの柱に沿わせて下してくるだけです。

下の写真は、滑り板の側板の端に取り付けたツバを写したものです。

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<着脱部のツバ>

ツバは、”着脱部構造”写真を見ると分かるように、

・滑り板がやぐらに取り付き、コンパネの端が踊り場の端に密着している状態の時、
・側板に付けたツバが、やぐらの柱にピッタリ沿うような位置関係で、ツバは側板に固定してあります。

だから、滑り板の端のツバを、上からスーッとやぐらの柱に沿わせて下してくれば、やぐらと滑り板は具合よく結合するし、滑り板を上に持ち上げれば両者を分離できるわけです。

製作まとめ

<寸法>
全体寸法 102×222×高さ92cm
やぐら寸法 62×102×高さ92cm
滑り板寸法 45×1950×高さ12cm
*室内用として遊ぶ時、オヂサン家のように狭い部屋ならやぐらだけ室内に保管して、滑り板はベランダで保管なんてしまい方もありますね。

<所要日数>
約4日間

<必要道具>
メジャー、差し金、のこぎり、ドライバー、キリ(下穴用)

<木ねじ寸法>
30 38 50 70mm の4種

<耐荷重性>
90kgのオヂサンが乗って滑っても全く問題なし

<費用>
木材費用、約4k円
塗装費別途(1.5k円ぐらいかな)
木ねじは手持ち品使用

<感想>
あきっぽいオヂサンがよく最後まで頑張ったと思う。自分自身に感心。 オヂサン、あんたはエライ!!

やっちまったぜ

せっかく、褒めたばっかりだったのにねえ。完成の余韻を楽しみながら幸せな気分で滑ってみたら、
アレッ? 何か変だぞ?お尻が踊り場から滑り板に移動する瞬間、微妙にやぐらの向こう側が浮く感触を感じました。

・・・??・・・

あは~ん、そうかぁ! 自分で設計した滑り台なのですぐに原因が分かりました。滑り板はやぐらの端に寄りかかっています。また、滑り板とやぐらは緊結構造ではありません。

オヂサンの体重がやぐらの投影底面から出て外側から掛かるようになり、ツバと柱の接触により回転モーメントが吸収されるようになるまでの微小領域で、やぐらを倒そうとする力が生じるのですね。

分かれば簡単。 いくつかの対応策が浮かびますが、一番工作が簡単なアウトリガー(踏ん張り足)方式を採用します。

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<追加アウトリガー>

写真のように、柱2本の下部に三角のアウトリガー(10cmも張り出せば十分)を取り付けました。もちろん、これで変な感触はなくなりましたよ。

はい、以上で完全に完成! ばんざ~い \(^o^)/
WKNちゃん、早くジージと滑って遊ぼ (^^

おまけ1:ペンキ塗り

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<ペンキ塗り>

話変わって、こちらは滑り台製作のその後です。

まだお話のできないオジョウサマのご希望(?)により、コスモスピンクなるかわいらしい色で塗装しましたよ。ここから先の飾り付けは、ママが工夫してくれることでしょう。

おまけ2:初滑り

オーッ、WKNちゃん、やっと来たかぁ、ジージは待ちかねたぞお!

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<すっ飛びWKNちゃん>

「ヒエーッ」ってか、WKNちゃん、どうだ、よく滑るだろ、たっぷりシリコンスプレーをかけておいたからね。WKNちゃん、カッコいいね。

ジャンパーもクツも、そして滑り台もピンクだねえ。トータルコーディネートだな、センスいいねえ。

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<初滑り>

初滑りは、室内で、ママに手を引いてもらって。 こわがるかなと心配したのですが、そういうこともなく平気でした。
WKNちゃんは、1歳4か月ですが、急傾斜の16cm高さ、4段階段を登るのはまだ無理なようです。

(*** 記載滑り台の 製作要領書 を作りました ***)

自作・DIYは、得られる満足感が大きい反面、思わぬケガや失敗のリスクもともないます。それを理解の上、自己責任で!

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