うつぼ漁でドジョウ捕り

うつぼは、長さが70~80cm、太さが15cmぐらいの竹カゴでできたうなぎやどじょうを捕るワナです。とっつあんの知り合いの笠間市のおじさんは、「うけ」とか「どう」と呼びます。

とっつあんとおっとやん(とっつあんのおとうさん)は、これでもっぱらどじょうを捕りました。

うつぼは、このような形をしています。竹ヒゴのような細い竹を、ところどころ竹の輪や細ひもで編んで、丸カゴのようになっています。

釣具屋さんに行くと最近ではプラスチック製のうつぼが売っているようです。どじょうは、写真右側の底の方から入ってきます。

取り出す時は左側のタガをとれば、カゴの口が広がってどじょうを取り出すことができます。

底から見た写真です。先へ行くほど細くなっています。

先端では隙間がなく、竹が板ばねのようになってさわっています。しかも、この円すい形のトンガリコーンは二重に細工されています。

うつぼの中にあるトンガリコーンを出口の方から見ました。

トンガリコーンの先端で欠けている部分があるのは、うつぼが古くて痛んでいるためです、御あいきょう。

これでは、中に入ってしまったどじょうは出口が見つかりませんよね。

うつぼの先端を止めていたタガを外せば、竹カゴが開いて中のどじょうを出すことができます。タガも竹細工でできています。

うつぼかけ

うつぼが活躍するのは、初夏、苗を植えた田んぼに水が満々と満たされている季節です。

とっつあんが子供のころの大宮(現、常陸大宮市)田んぼは、まだ耕地整理が進んでいなく、湿田や冬でも干上がらない用水堀がたくさんあって、田植え頃ともなれば田んぼにも用水堀にもどじょうや小魚が元気に泳ぎました。

おっとやんととっつあんは、日暮れ時ともなればいそいそと10本近いうつぼを手分けして持って、目を付けておいた田んぼへと向かいます。下手な絵で恥ずかしいのですが、うつぼは畦を切って作った田んぼの排水口に仕掛けます。

夜中に排水堀から田んぼに上ってくるどじょうを捕まえるのですから、排水口と排水堀との間に落差のない田んぼを選びます。うつぼの底が堀を向く方向にうつぼを沈め、その脇と上に付近に生えている草をむしって敷きつめ、その上に土付きの草を置いて重しにします。

つまり、田んぼの水は目すきのうつぼの中を通って流れ、どじょうは田んぼに上ろうとすればうつぼの中に入らなければならないというように仕掛けます。

うつぼの回収は、朝もやたなびく早朝に行います。うつぼをおおった土や草をどけて排水口を元通りに戻し、そしてタガを外しておそるおそるうつぼの中を覗きこみます。最もドキドキする瞬間です。どじょう、ふな、あかはら(イモリ)、かえる、まれに、うなぎなどが入っています。

えっ、捕ったどじょうはどうするのかって? もちろん食べるのですよ。どじょう汁、どぜう(どじょうと読みます)汁。真水を交換しつつ1週間ぐらいおき、泥を吐かせてから料理します。おっとやんととっつあんは、「これはウマイ!」と言って食べますが、実は子供のとっつあんには少し骨がゴツゴツしました。

どじょうをたくさん捕るには、うつぼの中にエサを仕込みます。炒りヌカ、たにしのつぶし身、土を混ぜて土だんごを作り、これをうつぼの中に入れます。また、うつぼの竹ヒゴの隙間より太いミミズ(キョロメメズ)を草でくるんで入れてもOKです。

このキョロメメズ入りのうつぼを久慈川の護岸工事の石垣の間に沈めると、時々ですが太いうなぎが入るようです(よそのおじさんがよく捕っていました)。

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