我が家で毎年活躍してくれている草刈り機、14,5年使いこみましたが、とうとう駄々をこねました。
ちょっとした空地や寄せ刈りには、肩からベルトで吊り下げる「刈り払い機」が便利ですが、自分が所掌する管理地の面積は刈り払い機で除草するには広すぎるので、耕運機のように人間が一緒に歩きながら操作する小型のハンマーナイフ型草刈り機を使用しています。
刈り払い機のように、作業しても腰が痛くならないこと、また、除草作業後に刈り草のまとめ作業をする必要がなく、刈りっぱなしでOKなことにほれ込んで購入したものでした。
機種は、株式会社共立製 自走式草刈機 HR661A型 という草刈り機です。
毎年、春先にエンジンオイル交換、エアクリーナーエレメント清掃、それに刈り刃研ぎの手入れをするだけで調子よく働いてくれていたのですが、先日ついに不具合が生じました。
刈り刃の回転を操作するクラッチレバーを入れても切っても、刈り刃が回りっぱなしになるという症状です。
作業中に刈り刃が止められないのも困りますが、一番困るのは、エンジンをかける時に始動用引き綱を引くと、刈り刃も一緒に回すことになるためシャフトの回転が重くなり、回転が遅くなってエンジンがかかりにくくなることです。
クラッチ機構の点検・調整法なんて一般ユーザー向けの取扱説明書に書いてあるはずもなく、それなりの期間無保守で使用しているので、てっきり部品の損耗に違いないと判断し、購入農機具屋さんに修理依頼の電話をかけました。
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えーっ?! 自分で治せるのぉ?!
久しぶりに声を聞く農機具屋の社長さん、実はカミさんの実家が懇意にしている方なのですが、そういう関係で自分も親しく会話できます。
症状を話すと、「それなら、油を差すだけで多分治るんだけどなあ、遠いけど診に行きますか・・・)」とのこと。
ナヌ~ッ! 油を差して治るようなクラッチなのォ? 油を差すぐらいなら自分にだってできるぞ、ホントかよ?
半信半疑ながら、素人にもできるか聞いてみたところ、やる気があればできるとのこと。こういう構造の所を見つけて、油を差せばよい と教えてくれました。
今、二人とも目の前に草刈り機があって構造を教えたり、教わったりしているわけではなく想像で会話しているので、どれだけ意思疎通できたか疑問なれど、とりあえず明日DIY好きなオヤジが、草刈り機修理に挑戦してみることになりました。
考え方として理解したのは、複雑・精密なクラッチ機構ユニットがあるのではなく、単に刈り刃に駆動力を伝えるベルトを回すか回さないかがクラッチ機能であるとのことでした。
ケーブルのワイヤー長さ調節の結果は
そうそう、修理依頼の電話の前に、取扱説明書に書いてあったクラッチケーブルの長さ調節で治そうと試みました。 それでダメだったので電話したのでした。
その時の結果を書いておきます。
上の写真、刈り刃を回すか、止めるかは、右ハンドルに付いているクラッチレバー(回転刃クラッチ)の取っ手を手前に引き、上に上げるか、元に戻すかによって行います。
取っ手の上げ下げにより、具合よく刈り刃が回転したり止まったりするよう、ワイヤーの長さ調節がケーブルの端部で六角ナットを回すことによりできるようになっています。
結果は、取っ手の上下で刈り刃回転・停止とはならず、刈り刃が回転するように調節すれば、取っ手が上でも下でも回転しっぱなし。
停止するように調節すれば、取っ手が上でも下でも停止したまま という状況でした。
カバーを外して油差し
分かってしまえば、なーんだ、こういう構造だったのぉ と驚くような、拍子抜けするような、かなり工夫された構造でした。
電話説明を思い出しながら、多分ここがそうだろうとエンジンの横にある白い色のベルトカバーを外しました。
カバーは留めてある3本のボルトを外し、手前に引いて後ろ側にスライドしたら、車輪を外さずとも簡単に取り外せました。
・・・ 興味津々、しばし内部観察 ・・・
左のエンジン側プーリーに2本のVベルトが掛かっています。
(写真では、作業の邪魔になるので回転刃プーリーに掛かっていたベルトを外し、左側に引き出してあります)
なるほど、ベルトを張ったり、緩めたりするのに各々にテンションプーリーが付属していて、プーリーがベルトから離れるとベルトがスリップする構造になっています。
ベルトをテンションプーリーで押して張るかどうかがクラッチだったのですね。
電話の説明、オール了解でございます!!
落ち着いて観察すると、クラッチワイヤーの端部も見えます。
実際にクラッチレバーを操作してみれば、手前側のベルトが刈り刃を回転させるベルトであり、クラッチレバーを手前に引くとテンションプーリーはベルトを張る位置に動くが、レバーを戻してもテンションプーリーの位置が元に戻らないと分かりました。
プーリーの位置が変わらなけりゃベルトは緩まない。ベルトが回ったままなら、刈り刃の回転は止まらない という訳ですね。
要するに原因は、ワイヤー端部とプーリーを連結しているテンションレバーの軸受け部が円滑に回転しないということでありました。
だから、社長さんは、そこの軸受け部に油を差せば治ると言っていたわけです。
テンションレバーに手を掛け強引に動かしてみると、動きが渋いけど何とか動きます。ただし、ベルトをセットしたままではプーリーの揺動角度が狭い!
テンションレバーを大きな角度で揺さぶりながら動きをよくするために、ベルトを一時的に外したのでした。
軸受け部の両端にスプレー潤滑剤を吹き付けながらギコギコ、ギコギコ、レバーの揺動運動。間をおいてスプレーを吹き付け、またギコギコ、ギコギコ。
潤滑剤が馴染むまでかなり手こずりましたが、ワイヤーで引かない時は、軸に取り付けられているバネの力でプーリーが自然に戻るようになりました。
やれやれ、よかった。これでまた当分使えると思います。というか、たいした手間ではないので、この油差し作業も春先の定例メンテナンス作業に付け加えることにします。
ブレーキの構造
最後に、もう一か所。面白い構造部をご紹介。
この草刈り機には、回転刃クラッチを切ると刃の回転が速やかに停止するようブレーキが組み込まれているのです。
どんな構造になっていたかと言うと、
テンションプーリーが遊びの位置(ベルト停止)にある時、テンションレバーの端に取り付けた太めの針金が一緒に動き、その動きは回転刃プーリーVベルト溝にバネで接触するようにセットされたブレーキパッドを自由に動けるようにする
というものでした。なるほどなあ!! 勉強になりました。
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