昭和30年~40年代製と思われる古い餅つき機(製餅機)での餅つき体験を残しておくため、記事にします。
古い餅つき機を見つけたけど動かないので、使えるようにできるかなとの話をもらい、興味津々。

製餅機
<製餅機>

いろいろ弄り回したけど、どうすることもできずにギブアップしたのですが、先日、直ったと聞きどうやって復活させたのか、ぜひ勉強したいと思っていました。

年末にそれを使って餅つきをするとのことでしたので、願ってもないチャンスと押しかけ、お餅を御馳走になりながらDIYの勉強をして参りました。

まずは、餅つき

難しい話の前に、まずはおいしいお餅をいただきましょう。「苦(九)餅はつかない」風習が有り、餅つきの日にちは、12月28日でした。

ボイラー
<仮設ボイラー>

到着するとオリジナルボイラーに火が入り、これからもち米をふかし始めるところでした。

熱源は、サツマイモ保存倉庫にスチームを供給するための石油バーナーを流用し、カマドはトラックタイヤのホイールを3個、溶接積み上げた鉄製カマド。

お湯は、ラーメン屋さんが麺をゆでる時に使うような業務用の釜で沸かし、その上に蒸しセイロを載せるための木製の座。座には中央に蒸気が通るよう直径10cmぐらいの穴がくり抜いてあります。

最初から、こんな面白いアイデアを見せられ、ワクワクしてきました。

ボイラーの右奥に写っている4段重ねがセイロです。1つのセイロには、もち米3升が入っていて、釜に近い下側から蒸しあがっていき、順に1段ずつ餅についていきます。

始まる前に、「餅つき隊」総勢6名による火当たりミーティング。女衆3名は、餅が入ったビニール袋を平らにのす作業担当。

男衆は3名。蒸しあがったもち米をホッパーに入れ、つきあがった餅をビニール袋に取り込む作業担当2名。これは、1セイロ分の餅を3袋に分けて取り込むため、瞬時に袋を交代しなければならないので2名必要となるのです。

餅つき
<餅つき>

さらに、この時には、歯磨きチューブを押した時のように出てくる餅の連続流を、手でちぎった瞬間に交換するという熟練を要する高等技も求められます(達人は、ビニール袋の中でちぎるという必殺技をあみだしました)。

もう1人は、ホッパー内のもち米をすりこぎ棒のような押し込み棒で下部にあるスクリュー部に送り込む役目があります。

実績としては、1セイロ蒸し上がるのに10~15分、1セイロ分の餅をつくには5分ぐらいでしょうか。この日は、俵で1俵半、もち米重量で90kgの餅をつきあげました。

写真は、つきあげた餅をで受けていますが、これはお重ね用の餅を取るためであり、それ以外の餅は、箕の代わりにビニール袋に取り込んでいます。

のし餅
<のし餅>

こちらの写真は、「餅のし係」の成果品。確か50袋近い数になったと思います。子が生まれ、1才までに歩くと一升餅を背負わせ、転ばせる風習がありますが、この袋1枚がちょうど一升餅にあたりますね。

当然、昼食はつきたてお餅。アンコ餅とお雑煮が振る舞われました。お新香は、できたてタクアン。これも塩加減が良く、つきたてお餅の味を引き立ててくれました。

小さい頃は杵つき餅、その後は羽根が回転する方式の家庭用餅つき機による餅を食べましたけど、この製餅機餅は一味違いますね。

なめらかさ、ねばり、切れ、なんというかモチモチ感、うまく表現できませんが、独特の食感がたまりません。はっきり言っておいしいです!!

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いよいよ復活法観察

分解すらできなかった骨董品的製餅機ですが、再度対面した時には、昭和時代の「大福号」(多分、当時の農機メーカー「共立精工」製)として現役復活していました。

なるほど、こういう風に再生すればいいんですね。DIY先輩、大変勉強になりました。ありがとうございました。

点検時の状況

大福号本体
<大福号本体>

最初に見た時は、写真赤囲みの本体部分だけがあり、餅の出てくるノズル、そしてホッパーおよび取付け筒体、プーリー・台座・ホッパー内を貫通するスクリュー軸と、3分割の状態でした。

問題なのは、プーリーを回せば当然スクリュー軸も回るはずなんですが、プーリーもスクリュー軸もビクともしない、完全に軸受けが焼き付いているような状態なのです。

摺動部に液体潤滑剤を吹き付け、軸を回しても叩いても動く気配なし。数日放置してトライしても状況に変化は見られませんでした。

壊すのを承知の上で、さらに強くショックを与えてみるかとも思いましたが、考えてみれば、軸受けが使えなくなっているのは明白なので、何十年も前の規格の軸受けを手配して交換する知識を持ってないと復活させられないわけです。

しかも、新たに動力機構の調達を含め、合理的な出費でですね。
この課題に対応できる能力は、恥ずかしながら持ち合わせておりませんから、素直にギブアップさせていただいたという経緯になっております。

どうやったら動いたの?

DIY先輩から直接話を聞けたわけではないのですが、やはり同じように液体潤滑剤を吹き付け、軸を叩いたらわずかに動いたので、あとはダマしダマし軸を抜いたとのこと。

軸受けはもちろん使えないので新品に交換したとのこと。(昔の軸受けにも互換?できる軸受けがあるんですねえ、ビックリ!)

製餅機構造

市販断面
<市販機断面>
分解
<大福号分解>
外観
<大福号外観>

うまく分解できなかったので、可動部の構造が気になり、ネットで調べてみました。当時の発売広告と、現在販売されている機種の構造とが公開されていましたので、参照しておきます。

自分の目では確認できなかったから断言はできませんが、多分、現在機種の構造が示すように、プーリー側に2か所ベアリング軸受けがあり、その先にスクリュー軸が接続された構造で、スクリュー軸の端は片持ち梁となっていると想像されます。

前出写真A部の内部は、この片持ち梁の先端部となりますが、ノズル形状の部品はホッパーの筒状部品にネジ蓋をかぶせるように回して取り付けます。

かぶせた部分に付いている3個の蝶ネジが、ノズルの緩み止めとなっています。
ノズルのかぶせ代を調節することにより、つまり、スクリュー部先端とノズルとの間の寸法を変えることにより、通過時のもち米の練り具合が調節できるようになっているようです。

筐体

全体
<復活大福号>

何十年かぶりに復活した大福号は、パイプフレームを筐体としたユニットに動力系と共に組み込まれていました。

なるほど、パイプフレームを利用するのは、グッドアイデアですね。この手のフレームは、エンジン発電機やエンジンポンプなどに使われており、大福号の場合は、田んぼに堀から水を組み上げるためのエンジンポンプのフレームだったそうです。

フレームには、新たに大福号本体、モーター、テンションプーリーを支持するためのL字型鋼が溶接されていました。

動力

大福号の本体プーリーをVベルトで回す動力源には、中古のAC200V,3相、動力用インダクションモーターが組み込まれているとは分かりましたが、いかんせん古いモーターなので、取り付け銘板の記入文字が消えてしまい読み取ることができません。

たまたま同じような作りの予備の餅つき機も用意してあったことから、そちらのモーターの仕様をメモしてきました。多分、大福号用モーターの仕様に読み替えても問題ないと思います。

日立 EFOUP-K型 4POLE 1.5kW AC200V 3φ 1480rpm(50Hz)

(要するに、1.5kW、1500回転/分 ぐらいの中古モーターを見つければ使えるということですね)

伝達系

大福号も予備機も本体のプーリーにはVベルト用溝が加工されているので、Vベルトで駆動する仕様のようです。安定駆動のためには、大福号のようにテンションプーリーを付けておくのがいいんですね。

肝心の本体、およびモーターのプーリー径は、外径で、300mmおよび90mmでした。

前述のモーター回転数から計算すると、本体のスクリュー軸が1分当たり444回転(1秒なら7.4回転)させれば、おいしいお餅がつけるようですから、上記回転数のモーターが入手できなければプーリー径で調節するという手もありますね。

おまけ情報

と言う程度の大ざっぱなスケッチですが、鉄工の心得ある工作好きな閲覧者様なら、以上の情報で十分な設計図?が描けると思います。

実は、前の正月に同様にしてついたお餅をごちそうになっていたことから、ヤフーオークションでの出品を時々チェックしていました。少なくても2回は出品を確認しています。いずれもジャンク品扱い、本体のみ、2k円ぐらいでしたね。

もっとも現役当時の動力源は、脱穀用のエンジン発動機や耕運機エンジンからのベルト掛けだったようですから、本体のみで残っているんでしょうね。

お餅好きで、興味をお持ちの方は、是非落札して作ってみて下さい。おいしいですよ (^^

そうそう、現在市販されている「こだ●号」(特急と同名?)は、100V,400W とか 100V,750W で動くようです。大福号も単相100Vモーターで動くような気がしています。

どなたか追加レポートしてください。

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