”拵え(こしらえ)”。 腹ごしらえ 等のように使ったことはありますが、我が人生においてあまり馴染みのない漢字でした。せっかく覚えたので積極的に使うようにしますよ(笑)。

今朝の気温は、マイナス6.5℃でした。予想最高気温は5℃とのこと。とても屋外で作業するという気温ではありません。

無理をして体力を消耗し、免疫力を低下させる生活は昨今のニュースに照らして賢い選択とは言えないので、おコタの中でヌクヌクとキーボードを打つことにします。

”猫ちぐらを作ろう”第2弾、ワラ拵え編です。前回記事”猫ちぐらを作ろう:導入編”の続きとなります。

タイトルを見て、さあワラ編みを始めるぞと意気込みしたくなりますが、まあ、そう焦らないで下さい。物事を為すに”段取り八分”という言葉があるそうです。

ワラ編み作業の前には、材料であるワラの準備や使う道具を準備する必要がありますね。

ちぐら作りの教科書に選んだ資料”民具のつくり方-猫ツグラ-”(前回記事参照)には、道具の紹介は載っていますが、ワラの準備については省略されています。

ところで、ホームページにちぐら製作記事を残そうと思ったのは、自分に対する備忘録としての記録と、興味を持たれた御訪問者様に対して参考になればとの思いがあります。

したがって、準備段階からの作業を含めて内容を纏めていきたいと思いますが、いかんせん市販本やネットからつまみ食い的に習得した我流の知識ですので、不適切な記載内容となる部分があるかもしれません。

その点十分ご承知の上でご覧くださるよう、よろしくお願いいたします。

<必要ワラの分量>

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ワラの束


一般に成猫一匹用ちぐら大と言われているサイズ(底面直径約40cm)のちぐらを作った時に、入手した稲ワラをどのぐらい使ったか数えてみました。

一つのちぐらを編むのには小束のワラを22束使い、完成したちぐらの重量は約4.5kgでした。

上の写真、右側に写っている小さな束が小束。稲を刈った人が作業しながら束ねていく最小単位であり、当地では束ねることを”まるく”とも言います。大人の手で掴んだ場合、片手より少し大きいぐらいの直径でしょうか。

左側に写っているのが大束。運搬するにも納屋に保管するにも、小束のままでは作業能率が悪いので、小束をまるったもの。女子でも抱えられるぐらいの大きさで、大束を”一かかえ”とか”一まるき”とか言う人もいます。

我が家にワラを譲ってくれる農家さんの大束は、12束の小束を一まるきにしていました。

ですから、香風が標準サイズの猫ちぐらを一つ作ろうと思ったら、大束を2束用意する必要があるということですね。

ここで、注意すべき事項として、大束や小束に含まれるワラ分量はJIS規格のように全国共通に決められた分量ではなく、農家さんによって変わるということ。

また、大束・小束にまるかれたワラ一本、一本全てが使えるワラではないということ。

を承知しておく必要があります。

<ハカマ落とし>

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レーキによるハカマ取り


刈り取った部分より下の節から出た葉で、ワラの下部に付いたままの葉を”ハカマ”と呼ぶようですが、まずこれを取り去ります。

写真は、ハカマ落としの一例を示したものです。

西洋熊手(レーキ)の歯を上向きに置いて、レーキが動かないよう杭を打って固定します。

ワラは小束1把かちょっと少な目の量を1回の作業単位として、まず根本付近を硬いものに打ち付けてゴミや土を落とします。写真のケースでは杭に打ち付けました。

次いで、ワラの上の方を持ってブルブルと震わせ、ゴミを落とし、かつワラの下部を解きほぐします。

その後、写真のようにワラの下部3分の1ぐらいのところをレーキに打ち付けるようにして歯に突き刺します。そのままワラを手前に引き抜くと、ハカマの部分が歯に梳きとられます。

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ハカマの梳き取り


この打ち付け、引くの作業をワラ束を回しながら5、6回繰り返すと、だいたいのハカマを除去することができます。

写真右は、ハカマ取りが終わったワラ。左がレーキで梳きとったハカマです。

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小さな熊手


こちらの写真は小さい熊手の紹介。100円ショップなどで手に入ります。

自分の場合、ハカマを取ったワラが大量に必要な時はレーキで、少しだけでよい場合はミニ熊手で、というように使い分けています。

さらに横着したい時は、マイ熊手(右手の指を曲げて)で代用する時もありますよ。

<選別>

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ワラの選別


ハカマ落としが終わったら、ちぐら編みに使えるワラだけを選び出す必要があります。

写真左がハカマ落としが終わったワラひと掴み。この中から、芯のしっかりしている、長さが十分ある、異常な変色のない、細くない、丈夫なワラだけを選び出したのが左から3番目。

2番目は不良ワラということで除外したワラです。使えるワラがこの工程でも減ってしまいました。

選別にパスしたワラは、(香風流ちぐらの場合)長さを60cmに揃えて、やっと編みわらとして使える姿になります。

写真右は編んでいるちぐらの隣に置いてあるワラ束。この束から2本3本とワラを取り出して編んでいきます。

この選別の作業は地味で面倒な作業ですが、完成したちぐらの見栄えを決定するとても大切な作業です。

<ワラ打ち>

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ワラ打ち道具


ワラ拵えの最終作業はワラ打ち作業でしょうか(意図して省略する場合もあります)。

稈(かん)と呼ばれるワラの芯や節を叩いて繊維をほぐし、細工をしやすくする前作業ですが、叩きすぎると繊維が切れたり、フニャフニャしたちぐら、ケバ立ったちぐらになったりします。

昔の生活、ワラ打ち仕事の説明などに切り株や石を土台にワラ束を置き、丸い木槌で叩いている絵を見かけるので、要領は分かると思います。

自分の場合、切り株や石、丸い木槌(横づちと言うんだそうです)がなかったので、角材の切れ端や大工さんが壊れたので置いていったカケヤを修理して使っていました。

その後、丸太を削って横づちを作り、昔、芝生中の飛び石に使っていたコンクリート板を見つけたりして使っています。

ゴムハンマーは、ちぐら入り口部の飾り編みに使うワラを優しく丁寧に前処理するために使っています。

ワラ打ちは、ワラが乾燥したままで打つと折れたり切れたりするため、適度に湿らせて作業します。

ワラ束全体を1、2分完全に水に浸したあと、5分ぐらい水切りし、ワラ束長さの真ん中辺から根元の方へ7、8等分ぐらいの間隔で槌を打ち、束を45度ぐらい回して同じように槌を打つ。

さらにもう45度回して槌を打つ という具合で根元側へのワラ打ちを終えて、今度は束の向きを変え穂先側へも同様にワラ打ち作業をしています。

この作業について言いたいことは、どのぐらいの強さでどのぐらいの回数打ったかが重要ではなくて、ワラ打ち作業によって決定されるのは編み作業のやりやすさと完成したちぐらの触感が変わるということです。

ワラ打ちが足りないと、編み作業中にワラが切れやすくなります。できあがったちぐらに触った時にゴツゴツした硬い感じのちぐらになります。

まあ、この手の手作り品には、これが正解と言う最適値は存在しないでしょうから、製作者一人一人が自分の好みを追い求めていくという作業になるのでしょうね。

今回は、ワラ拵えという観点で準備作業をまとめました。

<次の記事は、猫ちぐらを作ろう(3):道具編 です。クリックしてください>

あの~~、最後に一言。非常に言いにくいことなのですが、作業場所のことなんです。

猫ちぐらを作ろう と言いながら、申し訳ありませんが、ここに書いたワラ拵え作業を行うには、例えばマンションにお住まいの方には無理があるだろうと思うのです。

半端ではない、細かいワラゴミや埃も発生しますので屋内では作業ができません。こればかりはどうしようもありませんのでご勘弁下さい。

ワラ編みに使えるまでにワラ束の準備が完了できれば、(もちろんワラ編み作業によって多少のゴミ・埃は発生しますが)お住まいによっては、工夫して屋内で作業されている方もいらっしゃるようです。

 

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テーマがなく節操のない写真集ですが、お時間がありましたら覗いていただけるとうれしいです。

 

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