お寒うございます。いよいよ一年で一番寒い時期に突入ですね。
ブログの方は、”猫ちぐらを作ろう”第3弾、道具編です。前回記事”猫ちぐらを作ろう:ワラ拵え編”の続きとなります。
ちぐらを作るにはワラを準備しても、道具が無ければ作業ができません。本日はワラ編み専用の特殊な道具について書いてみます。
自分がちぐら作りに興味をもった頃の話。
なんという名称の道具か、どこのお店に行けば入手できるのか、全然見当がつかなかったため、たまたま見かけたネット公開の作業風景など、印刷してホームセンター等を訊ね歩きました。
もちろん、どこのお店でも印刷したような道具は売っていませんでした。
もしやとは思ったのですが、ほどなくちぐら作りの名人たちは自分の使う道具を自作しているということが分かりました。
いいですよ、それなら私も自作しましょう と開き直ったのですが、困ったのはどんな材料で、どんな格好に、そしてどれぐらいの寸法で作ればよいのか、皆目見当がつかなかったことです。
結局、ネットでらしき道具を見かけるたびに試行錯誤で作ってみる破目に陥ったわけですが、最近になってこの疑問に対する答えを見つけることができました。
ちぐらシリーズ初回にご紹介した教科書、”民具のつくり方”、この資料では長野県栄村の名人がいろいろ教えて下さっており、必要道具のポンチ絵(簡素な図)まで載っていました。
多分私の疑問を共有するであろう、ちぐらに興味を持った御訪問者様のためにも、本場で使っている道具をご紹介しておきます。
名人はこの道具を”差入れ針”と呼んでおり、ワラ壁の向こうから手前側に差しワラを通す時に使う道具です。
この道具一丁あれば、ちぐら作りの最終工程である天辺のドームを閉じる直前までのワラ編み作業を行うことができます。
写真は、教科書情報をもとに自分が再現した差入れ針ですので実用できます。
再現できなかったのは、先端の丸みを持たせた部分。ポンチ絵では楕円形に描いてあったのですが、仕上がりは涙形(雫形)になってしまいました。
材料・寸法は教科書通り、太さ約2mmの針金ハンガー・被覆付きで作っています。
一見して気になるのは、0.5、0.8の数値でしょう。これは私の記載ミスではありませんよ。
原本にそう記載されているのですが、この部分の単位はcm。その他の部分はmmと、好意的に読むのが素直でしょうね。
自分も試行錯誤時代に針金ハンガーを使った道具作りをしまして、その経験からコメントしておくと、
ビニール被覆した針金で作ればよいのかと思ってもそうではありません。一般のビニール被覆針金に比べて、針金ハンガーの針金は硬い材質なのです。
道具には、硬い材質の針金しか使えません。
それから、針金ハンガーで作った道具の被覆は、ちぐらを2、3個も編むと剥がれてきます。露出した針金はすぐに錆びるので、この点承知しておく必要があります。
まあ、クリーニング屋さんのサービスハンガーとペンチ一丁あれば作れますので、とりあえず名人も使うという写真の道具を標準として、使い込むに従って自分専用に改良していくのがよろしいかと思います。
(注:お分かりいただけているとは思いますが、2段目の中途半端な差入れ針の写真は、先端が5mm傾いていると言う意味です)
こちらは、現在自分が愛用している道具3丁。
上は、差しワラをワラ壁の手前から向こう側へ通すための道具。ステンレスお玉(百円ショップ品)の柄の金属部分を使ったもの。
主に、最終工程である天辺を閉じた後のワラ化粧作業や、編み上げた後のワラ目の補修作業で活躍します。
下2つは、差しワラを向こう側から手前へ通すための道具。その日の気分で使い分けています。
中段の差入れ針(針金針)は、錆びを嫌って自転車の修理用ステンレス製スポークを使ったもの(スポークは知人からの差入れ品:Nari仮面殿アザース!)。
下段(お玉針)は、見た目どおりステンレスお玉の柄を加工したもの。
2つの差入れ針の使い心地は、
針金針は、ワラに差込み時ワラの反力が大きく重いものの、ワラにやさしい感じがします。
お玉針は、刺し身を切っているようにスーッとワラ壁の中に滑らかに挿入される感触が気持ちいいです。ただし、力加減を間違うと既に編んだワラを切ってしまうようなことがあるので注意が必要です。
そのような両刃の剣のお玉針ですが、初回ご紹介の動画に出演の先生の手つきを観察して、お玉針を揺すりながら使えばよいと分かったので、最近はお玉針の出番が多くなっています。
どちらの差入れ針も、先端が目を編んだ際の撚り(ねじり団子部)の部分に当たると刺せなくなるので、その場合は無理に差込むことなく先端を上下左右に振り、差し直すことが賢明です
ここからは参考情報。写真は差入れ針等のオンパレードです。
形、寸法を変えてたくさん作りましたよ。特に針金針は今でも道具箱の中にゴロゴロ眠っています。
こんな商品を加工して作ったという意味で、お玉や計量スプーンも一緒に写し込みました。
百円で利益を出すために非常なご苦労のもとに開発された商品でしょう。本来の目的を達することなく、個人の趣味のために加工してしまい罪悪感を感じますが、別の目的で大いに活用させていただきますのでご勘弁ください。
この写真は、ワラを手前側から向こう側へ通すためにと思って作った道具です。
一番上は、ステンレスお玉の柄で作ったものです。針を押すにしろ、引くにしろ十分に掴む長さがあってグッドです。
二番目は、一番目を作るまで使っていた差入れ針です。ワラを引っ掛ける穴の大きさは十分なのですが、長さが短いので、押したり引いたりする際に力を入れずらいです。
三番目は、細い竹に切り込みを入れて作った樋(管?)です。竹の太さを選ぶことによって多数本のワラを通すことができます。
四番目は竹を削って作った針で、後ろ側に穴が開いています。一番目や二番目差入れ針の竹製バージョンと思って下さい。
ちぐらを完成させるまでには、どうしても手前から向こう側にワラを差込みたい場面がありますが、金属製のお気に入り針を作るのは結構大変な作業になります。
簡易的な針でよいという程度の必要性であれば、この竹製差入れ針がよいと思います。先端が尖った切り出しナイフ一丁で作れますからね(ナイフなので切ったり削ったりはもちろん、先端をモミギリのように回せば穴も開けられます)。
一番下は、差入れ針がどういうものか知らない時代に作った、一番最初の竹製針です。後ろの2つに裂いた部分にワラを挟んで使います。確かにワラ壁にワラを通すことはできますが、実用的に使ったことはありません。
こちらは実物を調達したいと思った時に、文字面だけの記録より写真があった方が分かりやすいだろうと撮った写真です。
製作工程の最後の頃、畳針と麻ヒモを使う作業があります。どちらも百円ショップで手に入ります。ただし、畳針は扱っていないので、手芸用の3本針セットで代用します。
また、前出の計量スプーンを加工した差入れ針は、百円ショップに置いてある写真のセットの一番小さいものを加工しました。
さあ、これで予め知っておいた方がよいかなと思った事項は、とりあえずまとめ終わりましたので、いよいよちぐら編みを始めたいと思います。
おっと、作業スペースの確認をしておくのを忘れました。
<ちぐら編みに必要となる作業スペース>
ワラ拵えの作業では、ワラクズや埃が発生するので作業場所に注意が必要でした。
ワラ編みでも程度の差はあるものの、ワラクズや埃が発生します。家族のヒンシュクをかわないような作業場所を見つける必要があります。
そして、ワラ編みを始めると名人でも一週間はかかるそうです。2、3週間は使いっぱなしになっても苦情が出ないような場所(屋内)を見つけるのが望ましいですね。
作業面積としては、畳2、3畳ぐらいの広さは欲しくなります。
自分の場合は、昔車庫として使っていて、その後物置として使っている農機具置き場の入り口土間を占領しました。
農機具出し入れの際の正に動線となっているエリアであり、2畳強の開き空間となっているのを見つけてラッキーでした。
写真、耕運機の後ろに隣接して置いてあるのが、90cm角のコンパネ製作業台。ハサミが置いてあるあたりに編みワラの束を並べます。
赤い丸椅子(小物置き)脇の段ボール箱が道具入れ。作業中に少しばかり出るワラゴミはテーブル下の一斗ザルに入れています。
以上、ご参考までに。
<次の記事は、猫ちぐらを作ろう(4):底編み編 です。クリックしてください>
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テーマがなく節操のない写真集ですが、お時間がありましたら覗いていただけるとうれしいです。
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